2月29日によせて

皆様こんばんは、冬扇と申します。

 

肉の日だったので、近所の焼肉屋で冷麺を食べてきました。

 

 

 

冷麺だけ、です。

 

「4年に一度しかない肉の日に、焼肉屋で冷麺だけを食べる」。

 

ゲームでバグ技を使うためのセットアップみたいでなんとも面白いですね。

店員さんも「なんで??」とでも言いたげな怪奇の目をしていました。

 

 

 

さて、2月29日といえばうるう年

 

有名な話ですが、我々が採用している太陽暦は、地球の公転周期=365日を一年として作られています。

しかし、実際には一年あたり約6時間のズレが生じており、4年で1日のズレとなってしまう。そこで、原則として4年に一度「2月29日」を設けることにより、このズレに対処しているのです。

さながらバグ防止のための例外処理ですね。

 

 

そう。2月29日という存在は、言ってしまえば「世界のバグ」なのです。

 

たとえば貴方が「一年前の今日」と言ったとします。しかし一年前、2023年には2月29日など存在しません。このとき貴方は「null」と宣っているに等しいのです。

 

4年に一度しかこの世に存在し得ない日付というのは、バグの温床なのです。

ですから、世界はこのバグを阻止するために様々な対策を講じています。

 

 

例をひとつ挙げましょう。

子供の頃、こんなことを考えたことはありませんか?

 

2月29日生まれの人って、誕生日が4年に一度しか来ないんだから、普通の人より年を取るのが遅くなるんじゃないか?

 

誕生日判定を回避することによって「年齢を1増やす」という強制イベントをスキップし、年齢を維持したまま新たなる一年を迎える。「誕生日消失バグ」といったところでしょうか。

これは重大なバグです。だって、2月29日生まれの人は、単純計算で他の人の4倍の時間を生きられることになるんですから。

そんなの不公平ですよね。そこで、世界はバグ防止のために対策を講じました。

それが「2月29日生まれの人は、2月28日に誕生日を迎えるものとする」という例外処理です。

これにより、人類の寿命に理不尽な格差が生じずに済んでいるのです。

 

 

他にも「肉の日増殖バグ」なんてものもあります。

通常、「肉の日」は毎月29日に訪れます。

2月には29日は存在しませんが、かわりに「2月9日」が肉の日として扱われ、一年で肉の日は全12回あることになります。

 

しかし、うるう年に限っては2月が29日までありますから、この日も肉の日としてカウントされ、肉の日は合計13回存在することになってしまいます。

この「肉の日増殖バグ」により、世の中のお肉屋さんは1回多くキャンペーンを行うことになってしまいます。いち顧客としては嬉しいことですが、とはいえバグが発生していることには変わりありません。

 

 

このように、2月29日というのは、その存在自体がバグの温床なのです。

たいていのバグは、世界による例外処理プログラムが働くことにより解消されているか、あるいはその影響が軽微なものとして無視されているか、のどちらかです。誕生日回避バグは前者、肉の日増殖バグは後者に該当しますね。

 

 

 

しかし、本当にそれで問題ないのでしょうか?

 

我々が知らないだけで、重大な「2月29日バグ」は今も世界のどこかに眠っているのではないでしょうか?

 

 

 

 

閑話休題

 

先述した通り、2月29日というのは、平年には存在しない特殊な日なのです。

4年に一度しかないこの日は、ある意味「異質な存在」といえるでしょう。

 

 

伊豆半島はもともと日本ではなかった、という話はご存じでしょうか。

現在は静岡県の一部として本州と地続きになっている伊豆半島ですが、大昔はもっと南に位置する孤島だったのだそうな。

プレート移動によって少しずつ北上し現在の位置に行き着いた伊豆半島は、日本列島における「バグ」。地層の内容も他の地域とは大きく異なっており、まさしく「異質な存在」なのです。

 

 

2月29日も、それと同じ。

では、今日という日は、どこからやってきたのでしょうか。

 

 

仮説を立ててみましょう。

便宜上、普段われわれが生きている世界線「通常世界線」、「2月29日」が存在する世界線「うるう世界線と呼ぶことにしましょう。

 

常世界線において、一年は365日です。言い換えれば、1、3、5、7、8、10、12月には31の日が、4、6、9、11月には30の日が、そして2月には28の日が存在します。

しかし、これだけでは4年ごとに一日分、ズレが発生してしまいます。そこで通常世界線の我々は、うるう世界線から一日分「2月29日」を拝借することにしました。

 

これを聞いて、貴方はこう思うでしょう。

 

うるう世界線側は、「2月29日」を失ってもよいのか?

 

確かに、ただ一年が流れているだけの世界線であれば、「2月29日」を失ってしまっては困ります。

 

 

では、こう考えてみてはいかがでしょうか。

 

うるう世界線では、2月29日が無限に繰り返されている

 

と。

全く同じ「2月29日」という日が繰り返されているのであれば、一日くらい失われたところで問題ありません。だって、誰もそのことに気づけないんですから。

 

名付けて「うるう世界線仮説」。わかりやすく図にするとこんな感じです。

異なる世界線から拝借して、通常世界線の時の流れに無理やりねじ込んだ「2月29日」という一日。

この日だけは、異なる法則、異なる常識を持った世界線と接続してしまうのです。

バグの温床となるのも頷けますね。

 

 

 

 

 

さて。

勘の良い皆様ならもうお気づきでしょう。

 

 

 

 

そう、世界線転移バグ」です。

異なる世界線の一日を無理やり接続した「2月29日」という日。

うるう世界線との接点が「存在してしまう」この日ならば。

何らかの方法、バグ技を用いることで、我々の今いる「通常世界線」から「うるう世界線」へと転移することができるのではないか、と私は睨んでいるのです。

 

 

もちろん、そう簡単に転移はできないでしょう。

これだけ重大なバグ技をいとも簡単に、無意識に、使うことが出来てしまったら、われわれ人類は二つの世界線を何度も何度も転移してしまいます。

 

そんなことになれば世界はメチャクチャです。

 

 

ですから、重大なバグを引き起こすための手段は、「普通なら起こりえないこと」でなければなりません。

 

 

普通なら起こりえないこと。普通、誰もやろうとしないこと。思考の盲点。抜け穴。

 

 

他の日であればあり得るかもしれないが、「2月29日という日ならば」誰もしない、しようとすら思わないようなこと。

それを実行に移すことによって、世界線転移バグは成功するはずです。

 

 

しかし、そんな手段、本当に存在するのでしょうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

……そういえば私、冷麺、好きじゃないんですよね。

 

 

 

ここまでお読みいただきありがとうございました。

それでは、また明日。

 

 

明日が何月かはわかりませんが。